第0-2話

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コンコン。 ノックの音。そして、 「・・・博士。」 声が聞こえた。若い男の、しかし高めの声だった。 「丈ですか。どうかしましたか?」 博士は、丈という名の青年のほうを向いた。丈はドアの近くにぽつんとつっ立っていた。 「あの・・・研究、進みませんね。」 丈はうつむき加減に言った。そして、しばしの沈黙。聞こえるのは、波の音だけ。やけに大きく聞こえる。 博士が口を開いた。 「あぁ、そのことなら気にしなくてもいいですよ。私はもう、諦めることにしました。」 あっさり返した。丈は、 「え・・・」と困惑している。そして、 「どうして?レポートを非公開にしてまで横取りされたくなかった『あれら』を、ほったらかしにするのですか!?どうして・・・どうしてそんなことが言えるのですか!そんなこと、博士が許しても、僕は許しません!」 とことん博士を責めた。
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