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「……フン、ますます面白いな……気に入った。よろしくな、山田」
田中はどうやら、漫画とかに興味があるようだ。山田はその事を理解し、今後はそっち方面で話を振ろうと考えた。
「ああ、よろしく田中」
――――――
放課後のチャイムがなる。退屈な授業を終え、部活をする生徒は部室へと足を運び、早々に帰宅したい生徒は家へと足を運ぶ。
山田も早々に帰宅したい生徒なので、カバンに教科書を詰めて帰る準備をしていた。
「おい」
田中が山田に呼びかける。
「一緒に帰らないか?」
特に急ぐ用事もなかった山田は了承する。2人は教室を後にした。
「少しこっちに寄って良いか?」
田中が急に立ち止まり、指を差した。
稲荷口から続く階段、この町唯一の神社だ。
「ああ、別に構わないけど……」
何かあるのか、と山田は疑問に思う。
階段を上った先に境内があり、その右奥に一際大きなくすの木がある。
田中はそのくすの木へ近づき、手をかざした。
「……なにやってんの?」
「この辺りはマナが強い、俺の右手を鎮静化させるには、この霊樹が欠かせないんだ」
山田は理解出来なかった。田中は何やらお経の様な、祈りの様な言葉の羅列を言い続けるだけだ。
山田は理解出来なかった。
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