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「…街まで徒歩かよ」
「当たり前じゃないか。徒歩の他に何があるって?馬車か?」
ずっと昔にトリップしてしまった様な感覚に陥った。
この世界の住人は車も電車も自転車も知らないらしい。
「まぁ…いい。ここから街までどれくらいなんだ?」
「歩いて早くて1日。遅くて1日半だな」
「うげ…。そんなに歩くのかよ…」
当たり前のようにあったものがない世界。
今思えば、当たり前のようにあったものが有難く思う。
マルコは何かを発見したのか、草むらの方を指差した。
「あ、悠。ウルフがいるよ」
「俺達には関係ねぇだろ?それとも、なにか?食料にするつもりか?」
「ウルフの肉が美味いの知らないのか?」
冗談半分に言った一言が、的中してしまった。俺はマルコの言葉をただ頭を抱えて聞くしかできない。
マルコは言い終えたあと、氷柱(つらら)のようなものを作りだし、ウルフに向かって投げ始めた。
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