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行き先、船への乗船手段も決まったところで各々支度を始めた。
俺が支度をしている所に、手に何かを抱えている水無月が来た。
「悠さん…よければこれに着替えてください」
「ああ…」
水無月から手渡された、畳んである服を広げてみると、襟を立てるタイプのコートで襟の長さは、ちょうど首が隠れるくらいの長さで服の縁は白。前をファスナーでしめるタイプのコートで色はシンプルな黒だ。服の長さは少し長めで太腿の中程くらいある。インナーは白の一般的なYシャツが用意されていた。
水無月に背を向け、そのコートに袖を通すとサイズは驚く程にピッタリだった。
俺はコートの前は閉めず、Yシャツの第一ボタンも開けた状態というラフな着方をした。
前回もそうだったが水無月はこうもサイズがピッタリな服を用意出来るのだろうかと疑問に思っていた最中に水無月に声を掛けられた。
「…どうですか?」
「ああ…いい感じだ」
「それはよかったです…」
水無月は微かに口許へと笑みを浮かべた後に、自分の支度を再び始めた。
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