第3章 花屋に集う人々

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「アニキ……お腹空いたっす」 太一が二人の食事を見ながらつぶやいた。 「悪いな、お客をほっぽり出して……」 沙音梨たちの様子じゃ、こいつらのために急ぐ雰囲気はまるでなかった。 「仕方ない。俺が作ってやるよ」 「え!マジっすか!?」 「ああ、ちょっと待ってな」 太一が大喜びだった。 俺は、ピラフを取り急ぎ大盛りで作ってやった。 それを3人の前に出す時に、にやっと笑う美里さんと目が合った。 (……確信犯かよ) やられた。 俺は、珈琲泥棒の従業員にもなってしまったようだ。 「ブレンドは淹れてくれよな」 「はいはい♪」 美里さんは食べ終わって手を合わせると、ブレンドを淹れ始めた。  
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