第3章 花屋に集う人々

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俺は小さくため息をつくと、美里さんの方を向いて言った。 「ごめん」 すねて向こうを向いていた美里さんが、ちらっとこっちを見た。 「もう一度」 「……ごめんなさい」 「えへ♪でね……」 いきなり笑顔に戻るといろいろ話し始めたので、相づちを打ちながら聞いていた。 ちらっと沙音梨を見ると、彼女も幸せそうに焼酎の水割りを飲んでいた。 きっと今のこの時間を楽しんでいるんだろう。 「でね♪」 「はいはい」 そう言いながら、俺は彼女の作ってくれたサムライを一口飲んだ。 すっきりとした味わいの中で、日本酒とライムの香りが鼻をくすぐる。 俺も美里さんの話を聞きながら、今を楽しんでいた。  
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