第3章 花屋に集う人々

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数日後の夜遅く、珈琲泥棒で飲んでると、外に軽自動車が停まった。 「こんばんわ」 入って来たのは、麻里さんだけだった。 「麻里、一人?珍しいね」 「うん」 「こっち座って」 沙音梨がカウンターの自分の横を勧めたが、彼女はその隣に座る俺のところまで歩いてきた。 「あの、直人さん……」 「ん?」 「ありがとうございました」 彼女が深々と頭を下げた。 「え?何が?」 「この間、由佳に言ってくれたから……」 「ああ」 沙音梨が席を左に避けたので、俺は間に座るように勧めた。 麻里さんはちょっと躊躇しながらも、軽く頭を下げて座った。  
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