第4章 春の真ん中のおと

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「本当に、何か起こるんだろうか?」 そう言葉にしてみても、それが現実感がなくふわふわと耳に入るような気がする。 何かが起こって欲しくはないが、何も起こらないのなら、ここにいる理由がなくなる。 昨日、安田に連絡してみたが、相変わらず、何も収穫がなかった。 宮川さんの足取りに、ヤクを扱う組織を感じさせるようなところがまるで浮かんでこないらしい。 『やっぱり、事故なんじゃないか?』 安田はそう言った。 俺も、それを否定できる程の自信がなくなってきたのは確かだった。  
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