H al L wAy

9/9
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
さくらの耳に、リボンと一緒にとめてある宝石があった。 深い碧の宝石。 吸い込まれそうな色に、目を奪われる。 その視線に気付いたさくらは、ミリアンの耳元に飛んできてそっと言った。 「一回溺れそうになったら、使ってあげる。」 本っ当にかわいくない。 「もう、また喧嘩してなーいっ? さくらは意地悪大好きだもんねぇ。」 フユラは面白そうに言うと、何事もなかったように湖へと進んだ。 それに続くように、さくらが蜂の様な羽音を立てながら向かう。 「ちょっ、ちょっと待って! いきなり湖に行ってどうするの? 何かその、作戦とか、色々…」 ミリアンはかなりとまどっていた。 やっぱり怖い。 溺れたくはないし。 だいたいウサギは泳げるの? さくらは本当に助けてくれる? 泣き出しそうだった。 何でみんなはそんなに強いのだろぅ。 私が弱すぎるのかな… でも、でも怖いよ。 足が立ち尽くす。 「ミリアン、潜るのよ。」 さくらは容赦ないらしい。 "歩け"という目をしている。 フユラに助けを求めようとしたが、まったくこっちを向いてくれなかった。 それが余計不安になり、ミリアンはフユラの側に行きたくて 湖へと 歩みだした。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!