My r Oo m ?

3/8
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
そんなことを思った所でどうにもならない。 側にあったくしで長い母譲りの薄茶の髪をとき、椅子にかけていたドレスを着て部屋を出た。 毎日毎日同じドレス。 いつもキラキラと輝く白いレースに、 赤い刺繍がとても綺麗で… 目が奪われてしまう。 ふと不思議な感覚が頭のすみに浮かぶ。 【白いドレスに赤い刺繍】 …疲れてるのかな。 そう思いながら螺旋の階段を降りた。 壁には肖像画や絵画が綺麗な額の中で眠っている。 もちろん肖像画は母のものだが、この肖像画に懐かしさを抱いたことはない。 … 階段を降りると直ぐに、小さな黒いメロンのようなものを蹴ってしまった。 「キャッ!」 軽く宙に浮いている感じがするが、その下からは細い糸のような物が地面までぶらさがっている。 足にしては、体を支えきれるとは思えないが… 不意に蹴られたそれは、倒れたかと思うとフワフワと立ち上がりこっちを振り返った。 「ミーナ様、おはよぅ、ごじゃマス」 「ごめんね、また蹴っちゃった。」 「いいのでス 私小さくて黒くて 丸いから 見えにくいしデス」 さっきまでは掃除をしていたのだろう。 そう言うと急いで転がっていた小さなモップを持ち、また床をふき始めた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!