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スイカは何匹かいて、それぞれが自由気ままに空を飛んでいる。
たまにそばに小鳥がくると、丸々とした体の一部がぱっくりと開き、一瞬にして飲み込んでしまう。
うわぁ…。
「すっごくおいしそうだねぇ…」
隣で同じ様に森の上を見ていたフユラが呟いた。
おいしそう…
アレを食べるなんて、想像するだけで気持ち悪い。
「フユラ、スイカって襲ってくるんじゃないの?」
そんなことがあれば、"人食いスイカ"なのだから、ミリアンはいい獲物だ。
「たぶん大丈夫だよっ
人食いスイカは、近づいてくる物しか食べないからね。」
フユラはスイカを見上げたまま言った。
フユラ、本気で狙ってる気がするんだけど。
たぶんってとこと、人食いスイカが空を永遠と飛ぶのかということに少し不安を感じる…
森に目をやると、一番手前の木にあの落書きを見つけた。
"garden"
庭…か。
えらく物騒な庭だなぁ。
こんな危険な場所なのに、この落書きの子は一人でここまで来たんだろうか。
少しずつ、ミリアンはこの落書きの子に興味を抱いてきていた。
ただの子供の思いつきの遊びなんだろうけど、ミリアンにはその言葉の意味が分かるような気がするのだ。
庭…
二つ目の、安らぎの場所…
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