122人が本棚に入れています
本棚に追加
未だにスイカを目で追っているフユラを引きずって、ミリアンは森へと入っていった。
森は好き。
森に来ると少し安心するから。
森の中に入ると、木々の葉のこすれる音や、鳥達のさえずりがとても心地よかった。
フユラは音に敏感なので、耳がひっきりなしにピクピク動いている。
「さあ、何か美味しい果物でも探そっか。」
「絶対に空で飛ばない果物ね。」
ミリアンはすぐに付け加えた。
フユラが素早く空を仰ぎ見たからだ。
絶対、あのスイカは、嫌!
「ちぇっ。
ミーナの意地悪っ。」
フユラは文句を言いながら辺りをピョコピョコと探し始めた。
辺りには、木々の他に様々な形のキノコが生い茂っている。
果物を探す方法は二つだ。
まれに生えている果物のなる木を見つけるか、果物が土の中に埋まっているのを見つけるか。
果物のなる木は探し歩くことで見つけることができるが、埋まっている方は知識と目利きがないと発見できない。
フユラは目利きがあるので、地面にピッタリとはりついて探していた。
特定のキノコの根の所に果物は埋まっている。
確か…果物のなるキノコは…
ミリアンは幼い頃城で勉強をしていたので、その記憶を頼りにキノコを探し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!