G a rDe n

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確か、形が傘みたいなやつで… フユラの方を見ると、すでに何かを掘り始めている。 でもそこはさすがうさぎだ。 掘るのは早いが土をそこらに撒き散らすので、木の裏に隠れて避けなければならなかった。 「あったよっ! マムの実だぁ」 フユラが掘りおこしたマムの実は、とても甘酸っぱくさっぱりしている。 爽やかで水分がたっぷりの、夏にとても好まれる果物だ。 「ミーナぁ、ほしいー?」 フユラが少しにやけ顔で聞いてきた。 たぶん、いや、思いっきり自慢している。 「いいよ、見つけたから今から掘るとこだし。」 負けん気の強いミリアンは、目をキノコに移し急いで探し始めた。 あった! 傘状で少し白っぽい、大きなキノコ。 確かこの下に何か果物が… ボッ ものの数秒でその喜びは消えていった。 「発火茸だねっ。 ミーナ火が欲しいの?」 フユラが説明してくれた様に、キノコからは小さな炎柱があがっている。 「…寒くて。」 もちろん発火茸の下に果物なんてない。 キノコの目利きは物凄く難しいのだ。 フユラはマムの実をかじりながら、面白そうにミリアンを見ていた。 「やっぱり、キノコより木の実の方がおいしいから、木の実探してくる。」 「大丈夫?僕ついてくよっ。」 フユラは本気で心配してくれていたが、ミリアンはこれ以上恥をかきたくなかった。 「大丈夫だよ。 すぐ戻って来るし、ここで休んで待ってて。」 ミリアンは小走りでその場所を去っていった。
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