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…
さすが私
フユラと離れて10分とたたないうちに迷子になってしまった。
今までミリアンは、安全な所に連れて行ってもらったことしかなくて、
こんな奥深くの
たくさんの木で囲まれた場所は始めてだった。
「どうしよ…」
少し不安になってきたが、フユラがミリアンを一人にするわけがない。
きっと…きっとすぐに心配して探しにきてくれるよね。
そう自分に言い聞かせて、ミリアンは木の実を探すことに決めた。
周りを見上げると、細くて長い木が陽の光を受けて輝いていた。
まるで雲にも届きそうな高さだ。
凄い…
木の一本に近づき、幹にゆっくりと抱きついて頬を寄せた。
幹からは、水を吸い上げている音が聴こえてくる。
まるで違う世界に吸い込まれていくような、ミリアンはそんな心地よさに浸っていた。
「お嬢さん、少し、くすぐったいんですけどね。」
突然頭の上から声が聞こえてきた。
木がしゃべった?
…たぶんこの木も、人間語を話すタイプなんだろう。
「ごめんなさい。
つい気持ちよくて…」
ミリアンは顔を上げて木に返すように言った。
「いやいや、そう言ってくれると嬉しいです。」
次はすぐ真横で声がした。
そこに目を向けると、木の枝にオウムのような色鮮やかな鳥がとまっていた。
オウムと言っても、くちばしと目は鷹のように鋭く、足は細く、尻尾は孔雀のように長く美しかった。
さっきの声は、木でなくこの鳥だったんだ…。
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