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「どうしました?」
あまりの美しさにミリアンは少し見とれてしまっていた。
「あ、いや、綺麗だなあって。」
私には少し語力が足りないらしい。
もっときちんと伝えたかったが、その鳥はミリアンに優しく答えてくれた。
「ありがとう。」
…綺麗…。
じっと鳥を見つめていると、ミリアンはあることに気がついた。
あれ…
「あなた、宝石は持っていないんだ。」
もちろん宝石を持っていない動物は多いが、なんとなくこの鳥が宝石を持っていないことが不思議な気がしてならなかった。
「私は、動物ではなくこの木自身なのです。
役割的にはこの木の根。
木は根を張っていますが、それは木を支えるためのもの。
実際は私が水を飲んで木が水を吸い、私が息を吸って木が光合成をしています。
」
鳥は優しく、ミリアンに分かりやすいように答えてくれた。
「あなたは、ミリアン女王陛下ですね。」
鳥は大きくお辞儀をして話始めた。
「精霊から伺いました。
…
まだ、思い出していないのですね…
この国も、
この森のことも…」
…え…?
…どういうこと?
「…あなたも、私のことを知ってるの?」
頭痛がする。
『…ダメ』
なんで?
「何を言っているのです。
この国で、あなたを知らないものはいません。
あなたは、この国のすべてなのだから。」
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