122人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
ピエロと出会った路地に着いても、そこにピエロの姿はなかった。
やっぱり遅かったよね…
ミリアンは辺りをゆっくり歩きながら、ピエロがいないか探した。
煉瓦造りの小さな喫茶店や、色鮮やかなお店が並んでいる。
この少し先はさっき通ってきたテントの市場だ。
もしかすると、どこかお店に入ってるかも…
そう考えたミリアンは、手前にあった緑の煉瓦造りの家に入っていった。
チリリン…
「いらっしゃぃませっ。」
店から一番最初に顔を見せたのは、とても可愛らしい栗毛の女の子だった。
「ドールハウスへようこそ。
どのような人形をお探しで?」
女の子はフリフリのピンクのワンピースの端をつまみ、軽くお辞儀をした。
ピンクがとてもよく似合っていてすごく可愛い。
目はパッチリしているし、肌は白く本当に人形のようだ。
「あの…
私ピエロを探しているの。
あなた知ってる?」
ミリアンは優しく言った。
「あら、ピエロなんてご趣味が悪いのね。
私ピエロは大っ嫌い。
すぐ人を騙そうとするんだから。
ちょっと待ってて。」
そう言うと、女の子は店の奥へと入っていってしまった。
店を見渡すと、確かに人形がたくさん置いてある。
日本人形やフランス人形はもちろん、可愛くないネコの形の妖精やきどった感じのトナカイ、フユラにそっくりなぬいぐるみまである。
それに、この世界の奇形の生物達も…
「うわっ。」
ミリアンはスイカを見つけて思わず声を出してしまった。
ミニサイズの口が避けた空を飛ぶスイカのオモチャ…
こんなの売れるのかなあ…
最初のコメントを投稿しよう!