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大きな扉から外にでると、目の前には広大な庭園が広がっていた。
城自体はちょっとした丘の上にあり、庭園までは階段で降りていかなければいけない。
そのため出てすぐの景色は、庭園、町や森をすべて見下ろせるようになっている。
今日はとても天気がいい。
と言っても、あの白い雪のような物は、年がら年中降っている。
言わば空気のようなものだろう。
吸っても何もないし、見えた所で触れるわけでもない。
ただ地面に落ち、淡い光を放ち消える。
おもいっきり背伸びをして、庭園を見渡した。
所々でシガーがバラの手入れをしたり、銅像や木々を磨いている。
中には、枯れかけた花や草達に、息のようなモノを吹き掛けているシガーもいる。
"ヒァリク"だ。
シガーのみが持って生まれる力。
草や花や自然の植物に生きる力を与える。
もちろん枯れきったものや、人間や動物には効かない。
ヒァリクを見ていると、まるで線香花火のような光が花から放たれ、少しずつ回復していくのが分かる。
「いつ見ても不思議…」
この国では、"力"は鍛えたり生まれた時から持っていたりするが、ヒァリクのような回復する"力"は他に一つもない。
傷や病気は治療するしかないのだ。![image=53869405.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/53869405.jpg?width=800&format=jpg)
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