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例年になく寒さの厳しい年のある日。
大雪に見舞われ、王都が真っ白な雪に埋もれたその日。
国中が悲しみに包まれた。
国王に残された最後の王子、第六王子の死を悼んで。
◇ ◆ ◇
その王国は、長年にわたり権勢を誇った歴史ある古い王国だった。
北側を山脈に阻まれ他国から攻め難い地形と、山脈のおかげで温暖な気候と山裾に広がる豊かな穀倉地帯を持つ、その一帯でも豊かな国の一つであり、国民は民の平和と幸せの為に心砕く国王を心から信頼し、王家を崇めていた。
王国は平穏で、幸福な人々で溢れ、国は豊かに潤っていた。
40年前までは。
前王の崩御により、若くして王位に就いた現王は、猜疑心強く、酷薄で残虐を好む王だった。
野心強く、豊かな領土を更に広げんと、農民を掻き集めて隣国へ攻め入った。軍費が嵩むにつれて税金は跳ね上がり、徴兵制によって働き手を失った農村は荒れ、それを補う為に他国から多数の捕虜が連れて来られた。国土は荒れ果て、人心もまた荒んでいった。
そして国王は、正妃を持たずに、征服した国の后や姫を略奪して己のものとした。
王には六人の王子と四人の王女がいた。
王子達の母親はそれぞれ違っていて、全員が王子を産むとすぐに亡くなっていた。皆、他国から略奪されて嫁いで来た姫達だった。
その死因には何かと噂が絶えなかったが、ついに明かされる事はなかった。
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