白い葬列

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 それから10日程経って、第六王子テア=イン・フィルアール・アルテアの病死が伝えられた。  第二王子の時と同じく、病名は不明なまま、国葬が執り行われる事が決まった。  葬儀のその日。  王都は記録的な豪雪に見舞われた。  通りと言う通りは人の腰まで埋まる雪に覆われ、予定されていた棺の王都巡行も取り止めになった。  それでも、国葬が執り行われたその日。  王都に住む全ての住人が喪服を身にまとい、雪に埋もれた通りに繰り出した。  第六王子の死を悼んで。  彼等国民の、最後の希望の死を嘆いて。  降りしきる雪が通りを埋め尽くす人々の上に降り積もり、黒い服は雪で白く染め上げられた。  頭から雪をかぶって凍えても、誰も通りから動こうとしなかった。  誰も一言も言葉を発しなかった。  ただじっと、城の方角を向いて雪の中に立ち尽くしているだけだった。  第六王子が死んだその日、彼等の希望も死んだのだ。  後にはただ、絶望と死だけが残された。
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