ク・ラ・イ・ア

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ポツ、ポツ ポツポツポツ サアァァァ──── 「………雨?」 …どうみても雨だ。 俺は近くの家の屋根の下に入り、傘をさした。 ザアァァァ──── あいつと共に生きる国、あいつの名を冠す花が咲く国。 その名を日本。 この国では今の時期を、梅雨と云うらしい。 やまない雨が降り続く。 そしてやがては夏になる。 彼はこの梅雨を厭う。 いわく、雨が怖いのだとか。 ザアァァァ──── 「ふぅ」 俺は小さくため息をつき、再び歩きはじめることにした。 雨が、長年愛用してきた靴を濡らす。
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