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涼が箒星と呼んだ女性は、逆乃箒星(サカサノ ホウキボシ)という名前で、涼や沙羅と同じ、とあるサークルの常連なので、既に知っていた。
何故涼と沙羅が確信を持てたのかといえば、箒星はモバゲーの日記で、大抵はゲームのことに関して書いている。
だから、先程の独り言の中で「ゲーム」という言葉が入っていたのを聞き、確信を得たのだ。
名前を呼ばれた箒星は、キョロキョロと辺りを見渡していた動きをピタッと止め、涼と沙羅に目を向ける。そこで、二人の存在に気付いたようだ。
「…………零千さんに、沙羅さん?」
箒星は驚いたように目を見開き、二人の姿をじっと見ていた。この二人が目の前にいるということについてもだが、二人がアバターそのままの姿になっていることに関しても驚いているのだろう。
その箒星の様子を見れば、涼と沙羅は箒星がどう思っているのかが分かり、苦笑を浮かべれば沙羅が携帯を取り出し、真っ黒な画面を箒星に見せた。
真っ黒な画面に映った自分の顔を見れば、更に表情を驚きに変え、「ちょっといい?」と沙羅から携帯を受け取れば、画面に映っている自分の顔を、信じられないといった様子で凝視していた。
画面に映っている自分の顔が、前にいる二人と同じように、アバターと同じ顔になっていれば、この反応も当たり前だろう。
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