第一話:そして物語は始まる

15/40
前へ
/467ページ
次へ
「……これじゃあなぁ……」  沙羅も辺りを見渡して、調べるようなものがないため、「どうしようか?」と苦笑していた。 「バラバラになって調べてみる……」 「……は、危険じゃないかなぁ?」 「……だよね」  とりあえず三人で別れて調べてみようかと提案する涼だったが、沙羅と箒星の二人の意見にもっともだと思い、苦笑を浮かべて考え直した。 「じゃあ、時間はかかるかもしれないけど、三人一組になって調べてみるべきかな?」  箒星がやはりこうするしかないかと思って言えば、涼と沙羅もそれしかないなと思い、その提案に頷いた。 「んじゃ、善は急げだ。早速行こう」  涼が手を叩いて、パンと高い音を鳴らしながらそう言い、それに沙羅と箒星が頷いて、三人が同時に歩き出そうとした時だった。 「その必要はない」  ふと、三人の耳にそんな言葉が聞こえてきた。明らかに男性の声だったため、唯一の女性である箒星は、涼と沙羅の方へと目を向ける。  しかし、二人はその視線を受けて顔を見合せれば、首を傾げていた。どうやらこの二人ではないらしい。  しかし、この場には三人しかいない。それなら一体どういうことなんだと、三人が辺りを見渡そうとした時だった。
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加