Prologue

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 冒険ものの小説の中では、必ず敵や悪意、悲劇といったものが存在する。それは読者に面白いと思わせるため、物語に面白味をつけるためだ。  その敵や悪意、悲劇の一番身近な例とするなら、魔物という存在が一番よくあるだろう。  姿形、能力が人外の魔物という存在は、容姿だけではなく、その行動も最も人間の恐怖というものを表した存在だろう。  小説でも使われる魔物という存在、その行動は、人の中に根強く刻みつけられた恐怖が、無意識に現れた結果、小説内でもその恐怖のままに動いているのではないかと考えられる。  自分が感じているはずの恐怖を、他人も感じないはずがない。個人差はあるだろうが、確かにその通りだろう。  もし、小説内で起こっているような悲劇が現実でも起こってしまったら?そんなのは誰も望まないはずだ。  それ故に、こんな悲劇は誰もが起きないだろうと信じている。なぜなら、信じたくないから。なにより、そんなものが存在しないと分かっているからだ。  だが、『事実は小説より奇なり』という諺を知っているだろうか。そんな悲劇が、今現実に起こってしまっていた。  しかし、闇ある限り光も存在する。これは、現実に出た魔物という存在に、立ち向かう者達の物語。
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