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目を開けると、そこは真っ暗闇だった。
「…………は?」
そんなどこかの小説の始まり方の描写しかできないような光景に、その真っ暗闇の中に一人しかいないその人物は、間の抜けた声をあげた。
声からして男だろう。今いる真っ暗闇の中では、自分の姿すら分からなかった。
とりあえず男は、状況を整理しようと頭を捻って考え始める。冷静な行動にも思えるが、これは一種の現状からの逃避とも言える。
その男は、まず状況を整理するために、自分が今まで何をしていたかを思い出す。
たしか自分は先程まで、ベッドの上に横になりながら、携帯を開いてモバゲーをしていたはずだ。それでついウトウトしてしまい──。
男はそこまで考えて、もう一度辺りを見渡した。そこは何度見ても、一寸先も見えない真っ暗闇だった。
「……はいストップ。待て待て待て待てー。誰か状況説明プリーズ」
男は頭が混乱しているのか、それとも気を紛らわせようとしているのか、言っても無駄な言葉をただぶつぶつと呟いていた。
誰が見ようとも怪しい人物なのだが、幸い(?)なことに、今この空間にこの男一人しかいないため、気にする必要はなかった。
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