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男はひとしきりぶつぶつ呟けば、目を固く閉じて頭を何度も左右に振ってみる。
頭をしばらく左右に振り終えれば、固く閉じていた目をゆっくりと開けていく。しかし、目の前に広がる光景は変わっていなかった。
男はもう一度固く目を閉じれば、今度は勢いよく、先程より多く左右に頭を振った。しかし、やはり目を開けてみれば広がる光景は変わっていなかった。
「…………はー……」
脳までも軽くシェイクされてしまったらしく、少しフラフラしながらも男はその場に座り、これがようやく現実だと認め、ため息をついた。
「……ここ、一体どこなんだよ?どうすれば戻れるんだよ……?」
男は片手で頭を乱暴に掻き回し、苛立たしげに呟いた。その言葉に、答えは返ってこないはずだった。
「……あれ?ここどこだ?」
不意に、自分以外の声が聞こえてきたことに、頭を乱暴に掻いていた手をどけ、慌てて立ち上がれば辺りを見渡した。
すると、少し離れた所に、光に包まれて立っている男がいた。真っ暗闇で光に包まれているのだから目立つのだが、少し姿が見えづらかった。体格、声からして男だと判断はできた。
そして、この場に現れた誰かの姿を見た途端、自分の体も光に包まれてはっきり見え出したため、男は驚いた。
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