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新しくこの場に現れた男のことも気になったが、自分の体が光に包まれるという異常な事態が起こっているため、まず自分の体を調べることが必要だと判断した。
実は、先程までは自分の体の状態が確認できないほどの暗闇だったため、今何か自分に異常がないかという確認ができないでいたのだ。
男は両手を目の前まで上げる。特に見える範囲で、大した異常はなかった。しかし、体の方だけ、ではあったが。
「……なんだコレ?」
上げた手と同時に、着ている服の袖も見えたが、自分は黒い服を着ていたはずなのに、何故か袖が赤かった。
男は慌てて着ている服を確認する。青いスカルマフラーが付いた赤いロングコートを羽織り、インナーは金の複雑な模様が付いた黒い長袖のシャツ。下は色が少し薄れたような、ベルト穴に銀の十字架のアクセサリーを着けた青のジーンズに、靴は茶系のスニーカーを履いていた。
まさかと思い、男は携帯を取り出す。携帯は電源を入れていないと、黒い画面がちょっとした鏡代わりとして使えるのだ。
早速電源を落とそうとすれば既に切れていたため、そのまま携帯を開いて画面を見る。
「…………嘘だろ……?」
真っ黒な画面に映っているのは、黒縁眼鏡をかけた自分の顔──のはずだった。
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