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確かに黒縁眼鏡はかけていた。しかし、合っているのはそこまでだった。
「これじゃあ、モバゲーの僕のアバター、零千涼(レイゼン リョウ)そのままじゃんか……!」
そう。男──涼の顔は自分が現実で知る顔ではなく、そっくりそのまま、架空の自分の顔へと変わってしまっていたのだ。
形容し難い現実離れしたその自分の顔に、涼は戸惑いを隠せないでいた。現実離れとはいったが、悪い意味ではなく、むしろ美化されているようなものだろう。
一体どういうことなのだろうと、今いる場所、自分の姿について、涼が色々戸惑っていた時だった。
「……うわっ!?何コレ!?」
すっかり自分の異常な現状のせいで忘れていたが、ここには自分と同じように迷い込んでしまった者がいることを涼は思い出し、声がした方に顔を向けた。この場を少しうろついていたのか、少し距離が近くなって見えやすくなっていた。
茶色のストレートウルフと言われる髪型に、赤と青みがかった黒のオッドアイ。左半分は目の部分だけ、金と黒の仮面に覆われていた。
服装は胸元を開けた、黒いロングコートを着ていて、黒のズボンに黒のブーツと、全身が黒で統一されていた。
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