18人が本棚に入れています
本棚に追加
アバターの姿なら、普通誰かと被っている可能性だってある。
それならば、そこにいる人物は違うのではないだろうかと思いつつも、胸には何故か確信めいたものがあり、涼はおそるおそる口を開く。
「……もしかして、沙羅っち……?」
涼がそう自分でもしかしたらと思った人物の名前を口にすれば、沙羅っちと呼ばれた男は涼へと顔を向け、驚いた様子で目を見開いていた。
「……涼兄ちゃん?」
涼に沙羅っちと呼ばれた男は、信じられないといった様子で、涼の名前を口にした。
沙羅っちと呼ばれた男の名前は、翠葵沙羅(スイキ サラ)。本当に血が繋がっているわけではなく、モバ内での家族設定、モバ家族を涼が募集した時、弟を希望したため、涼のことをそう呼んでいる。
その男が自分の知っている人物だと分かると、涼はよく分からない状況にいるにも関わらず、嬉しそうな笑顔を浮かべて沙羅に近付いた。
「リアルな沙羅っちだー!リアルなのに姿がアバターだけど、間違いなくリアルな沙羅っちだー!」
涼は自分でも混乱しそうだと思うような言葉を言いながらも、会えた嬉しさで興奮気味にそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!