見世物屋

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とある街。 その道の真ん中で、人々が群がっている。 その中心にいるのは、一人の青年だった。 「お次は鳥でも出しましょうかね」 青年が呟き、懐に手を入れる。 「兄ちゃん、本当に出来るのかよ?」 「任せろって。――そらッ!」 懐から手を出すのと同時に、小鳥が羽ばたき、飛び出した。 人だかりから歓声が上がり、青年は笑顔で礼をして応えた。 見世物が終わり、用意された入れ物の中には、様々な銭が入れられていた。 「んー、こんなもんか。」 銭を小さな袋に入れ、懐にしまうとぼやいた。 荷を背負い、ふう、と一息。 すると 「貴様、見世物屋か?」 「ん?」 振り向くと、男が立っていた。 右目に黒い眼帯をつけていて、腰に黒い刀を差した、焦げ茶色の髪と目を持つ若い侍だ。
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