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「そうだが…。今日はもう終いだぞ」
「そうか。――見逃してしまった。」
「残念だったな。明日には発つから、またいつかに。」
若い侍は少しうつむいて考え込み…
「今日泊まる所は?」
「それ、自分の家に泊まって行ってくれって言ってるようなもんだぜ?」
「城に招待したい。家臣達にも芸を見せてやってくれ。」
「…まあ、タダなら行く」
「客人だ。それに俺から誘ったんだ。タダに決まっている。」
「よし。―――あんた、名は?」
青年が聞くと、侍はにやりと笑い。
「独眼竜、伊達政宗。」
「ほお……まさか殿様とは。」
「驚いたか?」
「いーや全然。」
「肝っ玉が座った奴だ。…見世物屋、名を聞こう。」
「―――九十九尾(ツヅラオ)だ。宜しく頼む。独眼竜。」
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