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袖触れ合うもなんとやら
「孝久(タカヒサ)!どこにいたの?」
腕に多少の重みを感じ振り返る
「孝久が急に居なくなるからナンパされてたんだからね!」
彼女の後ろをみるといかにも軽そうな男共が居た。
よほど怖かったのか目に涙までためて。
その目は不安げに揺れている。
「ああ、悪かった。」
苦く笑い頭を撫でてやる。
「あと、お兄さん達もすんません。俺の彼女が世話になったみたいで。」
なるべく顔だけ笑顔で答える。
もちろん目なんか笑えるはずがない。
いい歳した兄ちゃんが何してんだよ。
「いや、なら……」
若干焦りながら退散する二人組。
はあ、溜息しかでないな。
「あ、ありがと。」
顔を赤く染め笑う彼女。
「いや?それより君、名前は?」
実は俺この子知らないんだよね。
なんか困ってたから話し合わせたんだけど。
「あ、未希(ミキ)ていうの。」
「オレは慎(シン)。これもなんかの縁だしメアド交換しない?」
「え?あ、うん!」
休日昼間の公園
こんな偶然もたまにはいいよ。
(昼寝に来てただなんて言えねえな。)
(優しそうだったから巻き込んだなんて言えないよ。)
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