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むしろ雨の音はどんどん強くなってきた。
空腹感と淋しさ、不安と恐怖に怯え、泣きそうになった瞬間、護の目の前に女の子が現れた。
「泣かないで。あなたは1人じゃないよ」
そう言うと女の子は護の横にぴったりとくっついてきた。
何がなんだかわからない状況で護は精一杯平静を装って質問をしてみた。
「君は誰なの?」
女の子は凛とした声で
「私の名前は周防麻里。あなたの団地のすぐ隣の棟に住んでいるの」
「それじゃあ僕と同じ桜幼稚園なの?でも見たコトないけどなぁ〓」
「ううん私はレインボー保育園に通っているのよ!だから見かけた事ないはずよ。
「保育園ってどんな所なの?」
「それはね…」
と他愛のない会話を続ける事数十分。
いつの間にか時を忘れて色々な楽しい会話を続けていた。そして
不思議と護の恐怖感や孤独感は消えていた。
「あっ雨が止んだよ~。護と話しが出来て凄い楽しかったよ〓また私とお喋りしてくれる?」
「いいよ〓」
「それじゃあ指切りしましょ〓。」
『ウソつ~いた~らハリセンボ~ン飲~ます指切った〓』
「バイバイ〓」
そういって麻里は雨が上がり、晴れ上がった大空に向かって走り去ってしまった。
途中で振り返り投げキッス〓を送ってくれた
護も後を追うように木のウロから出た。
アキラ、ケンジ、マサシとかくれんぼをやっていたのを思い出した。
周りを見渡すとすぐに見つかった。
アキラ「どこいってたんだよ。中々探しに来なくて。心配したんだぞ。」
ケンジ「そうだよ。俺達ずっと隠れてたんだぜ」
護「おれ、ちゃんとかず数えてみんなの事さがしにいったんだよ。でも途中で雨が降ってきて…」
マサシ「雨?雨なんて降ってないよ」
確かに周りを良く見渡してみると地面は水溜まり一つないし、
草など濡れていない。
護「そんな!確かに雨が降ってたんだよ。公園の真ん中に大きな木があって…」アキラ「公園の真ん中に木なんて生えてないぜ。」
確かに公園の真ん中には大きな時計がそびえ立っていた。
ケンジ「夢でもみてたんじゃないか?お腹も減ってきたからそろそろ帰ろう。」
ケンジがいうと同時に
5時のチャイムが団地中に鳴り響いた…。
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