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「ところでこの子の名前は考えた?」
香織の突然の質問に次郎は慌てて現実の世界に帰ってきた。
「 えっ?あぁ…そりゃあ勿論愛する我が子の名前位な!」 得意気に話すが鼻の頭を掻きながら言う仕草を見た香織はそれが嘘だとすぐにわかった。
「わかったわ。それじゃあ明日までの宿題にします。必ずやってくる事。もし忘れた場合は罰として…」
『イチゴのショートケーキを買ってくること!』
二人で声が調和した後、思わず大笑いしてしまった。
それを聞いた護が嫉妬したのかタイミング良く泣き始めた。
「大変だ。もうこんな時間だ。俺仕事途中で抜け出してきたんだ。悪いけど会社に戻るね」
病室の時計に目をやると既に日付が変わってから数時間は経過していた。
「パパ!」
香織は護をあやしながら凛とした声で慌てて帰ろうとする次郎を呼び止めた。 「今日から家族が三人に増えたんだからしっかり稼いできてね♪
…でも…無理しないで」
「了解〓愛してるよ。香織」
照れくさそうに病室を去ってしまった。
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