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女性の長い髪が液体中をゆらゆらと漂っている。その色は黒。だが、一面の黒い紙に白い絵の具で所々に線をひいたように、白い髪が束になって混じっていた。
その美しい顔には何の表情も浮かんではいない。左右の黒い瞳は光を失ったかのように虚ろで、そこにはとても深い闇のみがあった。
彼女は膝を抱いた状態のまま瞬き一つしない。時折吐く気泡がブクブクと小さな音をたてており、それが彼女の生存を示している。
だが男たちはそんな『モノ』など見てはいない。
彼等が見ているのはその背中。
そこにある自分達の『成果』のみだった。
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