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「ほらっ、どーよ!今日も大漁だぜ!!何せ、あの軍人のオッサン二人以外、誰もいねーんだからな。」
路地裏にある小さな家に、少年はいた。少年の他に、四人ほどの人がいた。
彼は、かっぱらった食料を床に置くと、ふう、とため息をつき、あぐらをかいた。
「だがよぉ・・・おかしくねぇか?鋼二が言うには、あのオッサン達しかいなかったんだろ?しばらく前にいた商店街の店の人や、住宅街の人々は、どこへ行ったっていうんだ・・・」
鋼二、つまり先ほどの少年の隣にいる、片目を髪で隠した少年が不思議そうに言った。
すると、ベッドで寝込んでいる少女が答えた。
「もしかしたら・・・私みたいに、ウイルスにかかって病気で死んでしまったのかも・・・」
「でっ・・・でも、それだったら一美さんも・・・!!」
一美と呼ばれた少女は、その言葉に首を振った。
「私だって、いつ死ぬか分からないのよ。私がここまで生きてこれたのは、みんなが持ってきてくれた治療物資やおいしい食べ物、それにみんなの看病があったからよ。
―わかるでしょ、改君・・・」
「改電・・・」
鋼二は、うつむいている少年、改電にそっと声をかけようとした。
そのとき。
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