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そしてキャンプ当日。キャンプに行くのは俺と先輩を含めて四人。と言っても俺と先輩以外の二人は両方女の子で、まぁヨロシクやろうと下心満載の下卑な笑いを浮かべた。日程は一泊二日。レンタカーを借りて乗り込んだのだが、シーズンを外した事もあって空いていた。
そんな人のいない中でテンションが上がらない筈もなく、一人が「そうだ、かくれんぼをしよう」と言いだした。
この歳になってかくれんぼかよ。と苦笑していたが、やり始めると中々面白い。隠れる方は子供と違って意外性を求めてくるし、同様に探す方も相手の立場になって考えるので、完全な心理戦だ。そして夕方。そろそろ日も暮れてきたという時、もうこれが最後で良いんじゃないか? と先輩は言った。誰も反論する者はいなかった。
最後のかくれんぼは、俺が鬼だった。女の子二人は、はしゃぎながらさっさと遠くに行ってしまうし、先輩は先輩で
「俺は真面目に隠れる。俺が勝ったら千円な」
と、命令染みた事を言い残して林へと消えていった。
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