偶然の確率

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「似合わない」 仏頂面のサヤが一言呟く。どうやら、ダイキとミキが釣り合わないと言いたいようだ。 「いや、誰も付き合っているなんて言ってねぇし……つーか記念すべき100ページに開口一番何言ってんだよ」 ダイキが当然のように反論するも、サヤの理不尽なパンチが顔面にめり込み、あえなくノックアウトする。 そしてそんな茶番をしている間に、ミキがハッと辺りを見渡す素振りを見せた。 「ここは……どこですか?」 素なのか、それともわざとなのか……とりあえず三人が対応に困ったのには変わりなかった。 「あの……どちら様でしょうか?」 「いや、前に説明したレンとサヤだよ」 「あっ、そうでしたか。私はミキと申します、どうかよろしくお願いしますね」 それで……と、ミキはダイキの方を向くと、居座りを正し、 「どちらがレンさんでどちらがサヤさんですか?」 またしても三人が固まったのは言うまでもない。 「いや、だから男がレンで女がサヤだってば!」 「そうですか。では改めてよろしくお願いします」 そう言ってミキは律儀に頭を下げる。 「ところでミキちゃん……」 「あ、呼び捨てで結構ですよ」 「そう?でもいいや、ミキちゃんはどうしてダイキなんかに?」 ひでぇ言い方だな……と悪態つくダイキを一睨みで黙らせ、最初から疑問に思っていたことを聞いてみる。 「それは……あの……」 と、ミキはちょっと顔を赤らめてダイキの方を見る。 「まぁ……なんだ、ちょっと長くなるけど、ただ待つのもあれだから話をしようかなぁ……」 とモタモタしている内に、サヤの正拳突きが炸裂する。 「勿体ぶらずに早く話して」 「分かりましたお話しさせていただきます」 拳のめり込んだ顔面から消え入りそうな声が聞こえてきた。
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