偶然の確率

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「お父様はランジー社の社長で、同じくトレーナーグッズで名を馳せるシルフカンパニーの社長とも面識があります。そして私にお見合いの話が舞い込みました。お相手はシルフカンパニーの御曹司……お父様とお母様は私に結婚を強要しました……」 「戦略婚ってやつ?」 「いえ、少し違います。私の場合は結婚しなければシルフカンパニーとランジー社の関係を断ち切るというものでした……」 つまり、ランジー社の社長もといミキの父親はシルフカンパニー社長からの圧力を受けていたわけだ。 「で、その相手が気に入らなかった……と」 「そういうわけでは無いんです。ただ……結婚くらい自由にして欲しいと、お父様の前で言ってしまって……」 あとはよくあるパターンだ。お前のせいで会社が潰れたらどうする……とかそんな感じに言われて、味方をしてくれた侍従は解雇させられ、どうしようもなくなったミキは、最終手段として家出に踏み切ったという。 「そんな風に家出したものですから……お金が無く、木の実を取りに行ってくれた私のポケモンが落石で閉じ込められてしまったのです……」 ミキの話を聞いてたら、何か財布をすられたとかって……もうどうでもよくなったんだ。しかもミキは自分の食事を切り詰めて石に閉じ込められたポケモンに薬を買っていたんだ。 「分かった。要するにそのポケモンを出してやればスリなんてしなくてもいいんだな?」 「えっ、でも……」 「頼む!ヤルキモノ、モウカザル!」 「ウッホ!」 「ウッキャー!」 「あの石を退かしてくれ。中にポケモンがいるんだ」 二匹は了解してすぐに作業に入った。力の強いポケモンを選んだから十分くらいで作業は終わり、中から衰弱したニューラが出てきた。 「ニューラ!」 ミキは急いでニューラに駆け寄り抱きしめる。 「ニュ……」 「思ったより衰弱が激しいぞ!早くポケセンに連れて行こう!」 「は、はい!」 俺は二匹を戻して、先を急ぐミキを追った。
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