偶然の確率

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「見つけたぜ……」 突然、後ろから男の声がする。その男が俺達の席までくると、ごっつい体に似合わないにんまりとした表情で話しかけてきた。 「捜したぜぇ……嬢ちゃん」 「知り合い?」 俺はひっそりとミキに尋ねるも、ミキは知りませんの一点張りだった。 「知らないって言ってるけど?」 「ざぁけんなぁ!!」 巨漢は両腕を机に叩き付ける。これで机にヒビが入ったかもな 「人の財布盗って知らんぷりとは良い度胸じゃねぇか……」 「しかしまぁ……面倒な奴から盗ったもんだな……」 「必死でしたから……」 まぁ、本当の事を話せば何とかなるだろ…… 「まぁ、ちょっと待ってくれって。こいつにもそうせざるを得ない理由があったんだよ」 「理由だと?」 おっ、話を聞いてくれるみたいだな。これなら上手くいくかも…… 「あぁ、実はな……」 とりあえず、俺が聞いたことを全て話した。許可無しで喋ったらいけないんだろうが、仕方無いよな? 「それが理由か?」 「あぁ……」 すると巨漢は一頻り笑うと、再び腕を机に叩き付けた。だから机が壊れるって 「そんなちんけな理由で俺様の金を盗ったってのか?そんなのぁ認められないな!」 やっぱダメか……と、ため息をはいた時だった。 「ちんけな理由とは何ですか!!私だって必死だったんです!!それを侮辱するなんて……許せません!!」 おいおい……今は立場的にはミキの方が不利なんだっての 「盗人が生意気な……」 遂に巨漢が動いた。そのでかい手でミキの首根っこを掴んだ。 「やっ!離して!」 「黙れ!このまま警察に突き出してやる!」 「いや!助けて!」 しょうがない…… 「待てよおっさん」 「おっさんだと!?」 巨漢は俺の方を向いて怒りを露にする。そのため、掴んでいたミキの首根っこを離してしまった。 「確かにミキがしたことは許されない。だけどあんたの行動を目に余る……そこで、だ。俺とバトルしようぜ。俺に勝ったら盗まれた額の3倍払うよ。どうだい?」 巨漢は少し立ち止まると、俺の肩を掴んでにんまりと笑った。 「面白い事を抜かすガキだ……いいぜ、受けてやる」
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