クリスタルレイルSOS

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「さぁ、俺の初勝利が近いぜ……」 ダイキが不敵な笑いを浮かべる。そして、それを苦虫を噛んだような顔で見るサヤ。 「くっ……ダイキのくせに……」 「負け犬の遠吠えにしか聞こえないなぁ……」 そう言って、手札のカードを手に取る。 「キター!2のダブル!」 バンッ!と2枚のカードを机に叩き付ける。 「まだカードを出せるか?」 「うぅ~……パス」 「パスだな……」 「よっしゃあ!これであが……」 「あ、私出せます」 そう言うと、ミキが遠慮がちに2枚のジョーカーを机に置いた。ダイキは固まり、サヤは大爆笑している。 「では失礼して、8で切って4です」 「また大富豪はもってかれたか……じゃあ2出して、6で上がりっと」 「じゃあ私もKであーがり!ビリじゃなくてよかった~」 未だ固まったまま動かないダイキの手から、ハートの3のカードが落ちる。 「そんな……勝てると思ったのに……」 ダイキがガックリとうなだれるが、これは本日何度目やら…… 「でもやっぱり大富豪は面白いね!」 「あぁ。しかしミキは強いな……負けたのはルールを教えたばかりの1、2回だからな……」 「何故か良いカードが来たり、運良く揃ったりするんです」 最初こそ勝っていたレンだが、ルールをマスターしたミキの暴走は止まらなかった。 「ほら大貧民、早くカードを配って!」 「畜生……サヤだって万年貧民じゃ……」 ダイキが言葉を続けようにも、サヤの拳を構えた姿が目に入り、ダイキは発言を自粛した。その姿は、まるで般若である。 「つーか、まだ着かないのかよ!もう二時間は経ってるぞ!」 「もともと1日を移動に費やすようなものだからな……そう考えたら、ペースは速い方だ」 そんなにかかんのか……とため息をつくダイキを急かすように、サヤが脅しをかけてカードを配らせた。
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