クリスタルレイルSOS

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「もう止めようぜ!」 計32回の大貧民にうんざりしたのか、ダイキはトランプを机に放り投げる。 「そうですね。ただ勝ち続けるだけというのも面白くありませんし……」 「……なんか嫌味な言い方だな」 「ねぇ、あとどれくらいで着くの?」 「そうだな……出発したのが10時、今は1時ちょっと過ぎだから……あと3時間はかかるだろ」 「3時間かぁ……暇だなぁ……」 それから、各々自由に過ごす事となった。レンとサヤはシートを倒して寝、ダイキはポケモン図鑑を眺め、ミキは分厚い本を読み出した。 「それで、今回はしてやられた……と?」 毎回毎回嫌味ったらしい言い方しやがる…… イースシティのチームファウスト調達部の幹部、レイヴンは小さく舌打ちをする。 「とにかく……だ。二度目の失敗は許されない……いいな?」 「なら何故今回俺を向かわせない?俺は奴等を叩き潰したくて仕方無いんだ」 モニターの向こうの男はため息をつき、うんざりした様子で話し出す。 「お前のポケモンや顔を覚えられればお前が不利だ。それに、お前には別の仕事がある。すぐにアジトに向かえ」 そう言うと、モニターの映像が途切れる。 「新しい仕事……またろくでもない事を押し付ける気か?」 そうは言っても仕方無い、レイヴンは腹をくくってアジトを目指す事にした。 「ふぅ……」 言いたい事だけ言ってモニターを切った男は、優雅にコーヒーをすすっている。 「奴は向かったのか?」 すると、モニターに若い女性の姿が映し出された。黒髪の綺麗な女性だが、少々目付きが鋭い。 「はい、先程計画を実行する……と」 そうか……と、男はもう一口コーヒーをすする。 「あいつは少々遊び癖がある。計画を着実に進行させてくれればよいのだが……」 男はコーヒーカップを置くと、独り言のようにそう呟いた。
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