クリスタルレイルSOS

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気持ち良さそうに眠るサヤを横目に、レンは少しおかしな事に気付く。 レンが周囲を見る限り、自分達以外の乗客が見当たらない。それどころか、車内販売の人まで来なくなっていた。 「一体……どうしたんだ?」 そして、レンはある光景を目の当たりにする。 この列車が停まるであろう駅を、列車は減速すらせずに通り過ぎて行った。 「どうなって……」 レンは気になり、サヤを起こさないよう慎重に席を立ち、前の車両に向かった。 「レンがいない!?」 急にサヤが叫びだし、寝ていたダイキとミキは驚いて目を覚ます。 「お、おい!何なんだよ!」 歯向かうダイキの首筋をサヤは掴み、ダイキを持ち上げて激しく揺さぶる。 「それはこっちの台詞よ!レンは何処!」 「知らねぇよ!!」 般若のごとき顔でダイキを揺さぶるサヤの肩を、誰かが叩く。 「何よ!」 振り返ると、そこにはレンの姿があった。 「レン!一体何処に……」 「説明は後だ。どうやらこの列車、チームファウストの連中に乗っ取られたらしい」 レンの発言に、サヤは言葉を失い、ダイキとミキはただ首を傾げるだけだった。 「なぁ、チームファウストってなんだよ」 「上手く説明出来ないけど……とにかく悪い敵なの!」 「うわっ、テキトー」 「そのチームファウストが列車を乗っ取り、何かをしているらしい……」 「では早急に止めましょう!」 「なんだが……」 そう言って、レンは辺りを見渡す。他の三人も同じように見渡し、ミキがぼそりと呟く。 「乗客が……いません」 「あぁ、さしずめ別の車両に閉じ込めているだろう。だからこうしよう、俺は乗客を解放し、その中でも戦える人を連れて来る。その間三人はチームファウストの奴等の行動を押さえてくれ」 「待って!それってレンが危険な目に……」 「大丈夫、俺を信じてくれ」 「でも……」 渋るサヤの手を、ミキが握り締める。 「信じましょう、レンさんを……」 「ミキちゃん……分かった。だけど……無茶はしないでね」 「あぁ、お前達も無茶はするな」 レンとサヤ、ダイキ、ミキは別行動へと移る。
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