クリスタルレイルSOS

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「ジャンヌ様!」 と、一人の研究員が駆けつけてジャンヌを呼ぶ。 「どうしたの?」 「ブラックリストの二人とその仲間と思わしき二人も動き出しました!」 「あら、案外早かったわね」 ジャンヌは微笑み、無線を取り出してそれを繋ぐ。 「戦闘部隊、各自バトルができるように備えなさい!」 無線での指示を終え、ジャンヌもまた、コートを脱ぎ、戦闘服が露になる。 「私も前線に出るわ。あなた達はデータ採取を続けなさい」 返事も待たずに、ジャンヌは動力室を後にする。 「閉じ込められた人は何処だ……」 レンは辺りを警戒しつつ、車両に設けられた部屋を隈無く探っていた。 と、レンがある部屋を開けると、中にコートを着た見覚えのある人物が寝ていた。 「おい!」 「うん?もう夕飯?」 こんな時になんとまぁのんきな人物である。 「チームファウストがこの列車を占拠している。早く安全な場所に……」 「チームファウストですとぉ!!」 コートの男性はチームファウストの名を口にした瞬間、とてつもない勢いで起き上がった。 「いきなりどうしたんだ……」 「あ、失礼しました。実は私、チームファウストを追う密偵でして……」 「密偵って……他人にそんな事言っていいんですか?」 「普通はダメですが……なんせあなたはチームファウストのブラックリストに登録されているレンさんですからね、一応伝えておこうかなと思いまして……あ、私はユタカと申します」 レンの事を知っている限り、ユタカは一応探偵業は全うしているのだろう。 「なら話は早い、乗客が閉じ込められている場所を一緒に探してくれ」 「場所なら一番後ろの車両ですよ?」 レンはこの密偵をまじまじと見つめる。 「なんで助けに行かずに寝てたんだ?」 「いやぁ……どうやら食事に睡眠薬を仕組まれていたようで……私とした事が、面目無いです」 レンはユタカが恥ずかしそうに頭を掻くのを見て、こいつは出世しないだろうな……と、考えていた。
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