クリスタルレイルSOS

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ユタカの言った通り、最後の車両にはチームファウストの制服に身を包んだ数人が入り口を塞ぐ様に立っている。流石に強行突破は出来そうにない。 「おい……どうやって突破するんだよ」 「ここでバトルして援軍を呼ばれてはマズイですからね……やはり気絶させるか……」 「あんまり目立つ事したくないが……仕方無い」 と、レンは真っ正面から見張りに突っ込んで行く。 「何だお前は!」 もろに注意を惹き付け、見張りの一人の顔面に正拳突きを叩き込み、もう一人が一瞬動揺した隙をついてハイキックをお見舞いする。 「ウガッ!」 「グェッ!」 僅か数秒にして、見張り二人の屍(殺したわけではないが)が出来上がった。 「これでいいだろ?」 手を払いながらユタカに問うレンは、僅かに笑っていた。 「いやー……噂以上の鬼畜……あ、いや、冗談ですから睨まないでください……」 「バカな事言ってる暇はない。とっとと中に入るぞ!」 レンはユタカを促し、一足先に車両に入っていった。 「なぁ、不自然だと思わないか?」 一方こちらは、チームファウストの行動を探っている面々である。そしてダイキが、何やら気付いた様子だ。 「何が……ですか?」 「敵さんがいるって割には妙に静かじゃないか?」 「確かにそうですね……」 「大方……」 サヤがドアを開けながら話し始める。 「研究で忙しいとか……乗客の見張りとかで駆り出されているんじゃないの?」 「そうか?」 「そうである事を願いたいですね……」 三人が注意しながら進んでいると、突然列車内がガタンと大きく揺れた。 「キャア!!」 「ウガァ!!」 「耳元で叫ぶな!」 ダイキにサヤの鉄拳が炸裂し、ダイキは後ろに吹っ飛ぶ。 「俺は……悪く……ねぇ」 絶え絶えにそう呟くダイキを見事にスルーして、サヤは警戒したように前を見る。と、急に車内放送が入った。 「えー、只今エンジンが不具合を起こし緊急停止を余儀なくされました。エンジンの点検が済むまでしばらくお待ちください」 至極事務的なアナウンスだったが、三人にはアナウンスの声が震えていたのが感知できた。 「あいつらは運転席ね、急ぎましょ!」 三人は止まった電車の中を走り出す。
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