狐の恋は燃える赤

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次の日、レン達は朝食の後にその日の予定を互いに話し合っていた。 サヤは次のジム戦に備えてポケモンを育てたいと言い、レンもサヤの特訓に協力すると言った。 一方で、ダイキとミキはこの温泉街の探索をするらしい。 「じゃあ今日は別行動だな。夕食は夜の7時に運ばれる。それに間に合うように帰ってくるように」 了解したように他の三人が頷き、貴重品を入れたバッグを持って、ダイキのミキが部屋を出る。それを見送った後、レンとサヤは部屋を出た。 「ベイリーフ、マジカルリーフ!」 「ベイッ!」 放たれた葉っぱは、一直線に野生のウリムーを捕らえる。地面タイプを持つウリムーにとっては、草タイプの技であるマジカルリーフは相性が悪い。ウリムーは目を回して倒れこんだ。 「いいわよベイリーフ!」 「ベイッ!」 しかし、ベイリーフは嬉しそうな声をあげる反面、体を震わせ、足を交互に上げたり下ろしたりを繰り返していた。 「ベイリーフ?」 「ベイィ……」 と、つい先程倒したウリムーの傷を治し終えたレンが戻ってきた。 「ねぇ、ベイリーフの様子がおかしいんだけど……」 「あー……多分寒いんじゃないのか?草タイプのポケモンは氷タイプに弱いし……」 「そうなの、ベイリーフ?」 ベイリーフは辛そうに体を震わせた後、コクリと頷いた。 「このままじゃ特訓もままならないだろうな……少し休憩しよう」 「オッケー、じゃあ何処で休もっか……」 ベイリーフをボールに戻し、サヤとレンは休める場所を探し始めた。 しばらく歩いていると、少し古そうな小屋が見えた。中に入ってみると誰もおらず、また暖炉などもあり、寒さを凌ぐには申し分ない感じである。 「よし、ここを拠点にしてレベル上げをしよう」 「そうね、暖炉もあるし……」 そう言って、二人は荷物を下ろすと、ある重大な事に気付く。 「あれ、そういえばどうやって火を点けるの?」 「えっ……俺はライターの類いは持ってないぞ……」 「うそ……」 「いや、それ以前にライターで焚き火をするのは無理だと思うが……」 と暖炉を見てみると、燃え尽きて炭になった薪が目に写った。
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