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「くだらない事言ってないで早く支度しろよ」
そう言うと、レンは自分のポケモンをボールに戻し、使った食器類を片付ける。
「ちょっと待ってよ!大体私の意見は無視なの?」
「くだらない事といったら、それくらいしかないだろ。さ、もう出発するぞ」
サヤは、まだ何か言いたそうだったのだが、今回は折れてポケモンをボールに戻す。先程までルクシオと睨み合っていたロコンも、自分が入ってきた窓辺から外に出ていった。
「準備はできたな、じゃあ出発しよう」
二人が小屋を出ると、しんしんと粉雪が降っていた。
二人は、今後の旅の為に道具等を揃える事にした。そのために、温泉街に向かっていたのだが、先程のロコンだろうか、草むらからひょっこりと顔を出しながら、そして時に草むらに隠れながら二人に着いてきていた。
「なぁ、あれってさっきの……」
レンは歩きながら、後ろの茂みを指差す。サヤも気付いていたようで、一度後ろを振り向くと、途端に得意気になってレンを小突く。
「ほら、やっぱり恋してるんだよ」
「いや、だからってここまで執着するか?」
「分かってないなぁ~、だから男は……特にレンは……」
何の話をしているのかは分からなかったが、とりあえずバカにされたような気がして、レンは「悪かったな」と悪態をつくと、黙って足を早めた。
「あ、ちょっと待ってってば!」
急に足を早めたレンを追い、サヤも足を早めた。
その後も、ロコンは二人の後を着いてきた。温泉街に入ると、ロコンは隠れる事なく、堂々と姿を見せて着いてきていた。周りの人はちらっとロコンを見たものの、それ以上は何もしない。どうやらここでは普通にロコンが出現するようだ。
二人はフレンドリショップの前で足を止め、二人で入っていく。ロコンも入ろうとするが、どうやらロコンの身長では自動ドアが反応しないようで、自動ドアは閉ざされたままとなった。それでも必死に体当たりを繰り返すが、そのような事態を想定して作られたドア、やはりビクともしない。
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