狐の恋は燃える赤

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ロコンが必死の思いで体当たりを繰り返す一方で、二人は呑気に買い物をしていた。 「次のジムは……っと、確か氷タイプを使うんだっけか?」 「確かそうだったはずだ。だから凍り治しを多めに買っておくと良いかもしれない」 「オッケー!あとはキズ薬と……」 サヤは必要な物をカゴに入れ、レジに向かう。するとバイトだろうか、慌てた様子で二人に駆け寄った。見ると、バイトの腕の中には先程のロコンが…… 「あの……このロコンはあなたのポケモンですか?」 「いえ、さっき会った野生の子なんですけど……」 と、バイトの腕の中にいたロコンが突然バイトの腕に噛み付く。 「痛だだだだ!」 バイトは必死に腕を振り回してロコンを振り払うが、今度はサヤのベルトについているモンスターボールをくわえる。 「えっ、ちょっと!離しなさい!」 今度はサヤがロコンを振り払おうと躍起になる。 しかし、やっとのことでロコンを振り払ったものの、ロコンはモンスターボールをくわえたまま、誰かが出ていくのを見計らってフレンドリショップを出ていってしまった。 「あーっ!私のモンスターボール!」 そう言って、急いでロコンの後を追うサヤ。道具の代金も支払わずに…… 「ちょっと待て!おい!」 慌てて呼び戻そうとするが、既にサヤは店から出ていってしまったようだ。 「マジかよ……」 レンはため息をつくと、財布を取り出した。 一方で、上手く撒いてきたロコンは、早速モンスターボールを地面に向かって投げた。これで念願だったベイリーフと二人……いや、二匹きり……だと思ったのだが 「ガウガウッ!」 「コ……」 なんと、出てきたのはルクシオだった。どうやら持ってくるボールを間違えるとは……しかもよりによってルクシオ……本当についていないロコンである。
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