狐の恋は燃える赤

10/16
前へ
/177ページ
次へ
「ガウッ?(どこだよここ?)」 ルクシオは辺りを見渡す。すると、相当落ち込んだロコンが目に入った。 「ガウッ!(あいつはさっきの!)」 と、敵意を剥き出しにしてロコンに近付いていく。 「ガウガウッ!(おい、お前が俺を連れてきたのか!)」 すると、落ち込んでいたロコンが顔を上げ、ルクシオをキッと睨み付ける。 「コーン!(僕だって君を連れてきたかったわけじゃない!)」 ロコンは一度吠えると、また落ち込んでぶつぶつと独り言を言い始めた。 ルクシオはそんなロコンには目も向けず、とりあえず周りを見渡し、何処にいるのかを把握しようとしたが、森の中だという事以外に分かることは無い。 ルクシオは考える。ただ闇雲に森をさまよったとしても、迷うだけ……だとしたら 「ガウッ!(おい!)」 ロコンは、呼ばれて一瞬ピクリと動くが、また下を向く。 「ガウガウッ(ベイリーフに合わせてやろうか?)」 ベイリーフという言葉に反応し、顔を上げる。 「コン……?(えっ……)」 「ガウガウ(あのトレーナーんとこに案内してくれれば、そう掛け合ってやってもいいが……)」 ロコンの表情は一気にぱぁ……っと明るくなり、すぐに頷くと、ルクシオの入っていたボールをルクシオに渡し、先導するように歩き出した。 「ガウ……(単純だな……)」 ルクシオは計画が上手くいったため、ニヤリとほくそ笑んだ。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加