狐の恋は燃える赤

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「ルクシオー!どこー!」 ロコンを見失ったサヤは、大声で叫んではみたものの、そう簡単には見つからない。 「全く……あのロコンをとっ捕まえてやらないとね……」 とはいったものの、雪の積もる中で闇雲に探して体力を消耗するのだけは避けたいので、やはり休み休み探す事となった。 「ふぅ……ちょっと休憩」 サヤは適当な切り株に腰掛け、宿で入れてきたお茶を取り出す。寒い時はやはり熱いお茶だ。 「そうだ、レンに電話……っと」 今更ながら、サヤはレンのポケモバに電話をかける。しかし、全く繋がらない。 「あれ、おっかしいなぁ……圏外じゃないよね?」 ちゃんと確認したのだが、やはり繋がらない。 「なんだろ……ちょっと戻ろう」 サヤは立ち上がり、水筒を抱えたまま来た道を引き返した。 しばらくして、ロコンとルクシオが温泉街に出てきた。しかし、ここまでほぼ素足で歩いてきた二匹は暖をとるため、無料の足湯に浸かる。 「ガウー……(あ~……生き返る~)」 「コーン(あれくらいで参ったの?情けないなぁ)」 「ガウッ!(お前に言われたくない!)」 さて、十分暖をとった二匹が足湯から出ると、急に二匹は頭を掴まれる。 「こんなとこで何してんだ、お前ら」 二匹が後ろを振り向くと、何故かレンが二匹を掴んでぶら下げていた。 「やれやれ……心配かけさせやがって……さて、サヤに連絡を……」 そう言って二匹を放し、バッグの中を探るも、ポケモバが出てこない。 「しくったなぁ……宿に置いてきたかもしれん」 一応言っておくが、携帯電話とは常に携帯できる電話である。それを置いてきてしまっては身も蓋もない。 しょうがなくレンは立ち上がり、呆然とする二匹を抱えて再び歩き出した。
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