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だが、戦闘不能になったストライクに対して、ツバキはユキノオーで攻撃を仕掛けようとしている。
「もう止めて!」
サヤは咄嗟に、ストライクとレンを庇うように、ストライクとレンの前に立ちはだかる。
「……邪魔」
ぼそりと呟いた直後、氷の塊がサヤ目掛けて放たれた。ユキノオーの放った氷の礫だ。
「危ない!」
レンは叫び、咄嗟にサヤの服を引っ張り、サヤを転ばせる。サヤを目掛けて放たれた氷の礫は、床を破壊し、粉々になった。
「ここは危険だ、逃げるぞ!」
「えっ……けどバッジケースが……」
「そんなの……」
と、二人がもめていると、下からツバキの母親ともう一人、スーツに身を包んだ男性が、部屋に飛び込んできた。
「ツバキ!」
その男性の一喝にツバキは振り向くが、男性を見る目は細く、睨んでいる……と言った方がよかったかもしれない。
「パパ……」
「ツバキ……お前はお客様になんて事を……」
「この人も……昨日の人と同じ……」
「昨日の……ジム戦に来た人か……」
「ジム戦に……まさか!」
今朝、ポケモンセンターを逃げるように去っていった手負いの男性、そして、サヤはツバキとそこで出会った……
「今朝、お見舞いに来たのって……」
「えぇ、私がそうしなさい……と」
「なんで……なんでなの!」
サヤは、ツバキに訴えかけるように叫ぶ。だが、ツバキは興味ないとでも言うように、サヤを一瞥すると、サヤのバッジケースを投げつけた。
「返す……」
サヤは、足元に転がってきたバッジケースを手に取り、ツバキをじっと見つめる。
「明日、この街の先にある氷層の洞窟で……待ってる。勝てばバッジを渡す……けど……負けたら……あなたを……殺す……」
そう告げると、ツバキはピジョットを繰り出し、ピジョットに乗って窓から出て行ってしまった……
「ツバキちゃん……」
サヤは、ツバキの出て行った窓を見て、ポツリと呟いた。
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